渋柿と甘柿の違いは生物学的には遺伝子の違いなのですが、食べ物としては柿の実の中にできる「タンニン」という成分の量の違いです。
ですので渋柿と甘柿は同じ木にできることはありません。
ですが、「不完全甘柿」という種類の場合、種が入った実は甘く、種が入らなかった実は渋いままということがありますので、その場合は渋柿と甘柿が同じ木にできてる!ということが起こります。
詳しくみていきましょう。
渋柿と甘柿の違い 種類一覧
渋柿には完全渋柿と不完全渋柿の2種類があります。
完全渋柿は種が入っても渋いままの柿、不完全渋柿とは種が入ると種の周りだけ渋くなくなる柿のことです。
甘柿にも完全甘柿と不完全甘柿の2種類があります。
完全甘柿は種があってもなくても甘い柿、不完全甘柿は種が入ると甘くなる柿のことをいいます。
- 完全渋柿・・・渋い柿
- 不完全渋柿・・・種の周りだけ甘い柿
- 完全甘柿・・・甘い柿
- 不完全甘柿・・・種があると甘い、種が無いと渋い
木でなっているのを収穫して食べるとき、一番ドキドキするのは不完全甘柿ですね。
見分け方はいろいろありますが、一番わかりやすいのは黒い点々が入っているか入っていないかだそうです。
黒い点々が入っていると甘い柿、入っていなかったら渋い柿なのだそうですが・・・そうではないものもあります。
実際はタンニンの分解の具合にもよるのではずれ(甘いと思ったのに渋だった)を引いてしまうこともあるのではないでしょうか。
渋柿と甘柿の種類をご紹介します。
渋柿 | 甘柿 |
---|---|
市田柿(不完全渋柿) おけさ柿(不完全渋柿) 愛宕(あんぽ)柿(完全渋柿) 富士柿(不完全渋柿) 横野柿(完全渋柿) 蜂屋柿(不完全渋柿) みしらず柿(不完全渋柿) 百目柿(不完全渋柿) 刀根柿(不完全渋柿) など | 次郎柿(完全甘柿) 太秋柿(完全甘柿) 早秋柿(完全甘柿) てまり柿(完全甘柿) 早秋柿(完全甘柿) 御所柿(完全甘柿) 西村早生(不完全甘柿) 筆柿(不完全甘柿) 甘百目(不完全甘柿) 黒柿(不完全甘柿) 倉方(不完全甘柿) 小春(不完全甘柿) など |
渋柿や不完全渋柿は渋抜きをして出荷するそうです。
不完全甘柿も渋抜きをするのが一般的なのだそうです。
渋柿と甘柿の生物学的な違い
渋柿と甘柿は遺伝子に違いがあります。
簡単な説明と難しい説明と2つ書いてみますので、好きな方を読んでみてください。
簡単な説明
難しい説明にしようと思えばできるのですが、簡単に説明すると甘柿になるのは人間の血液型で言うところのO型のようなものなのです。
人間の血液型ってA型、B型、O型、AB型がありますよね。
それぞれを詳しくみるとA型はAAかAO、B型はBBかBO、O型はOOだけ、AB型はABだけというのを聞いたことがありますでしょうか?
Oの遺伝子に比べてAとBが強いからOが混ざってもAがあればA型に、BがあればB型に、AとBは同じ強さなので一緒にあると両方の特徴が出てくる、というものです。
甘柿と渋柿も同じで、甘柿の遺伝子が仮にOだとすると、渋柿の遺伝子はAとBで、一緒に持っていると甘柿にはならず渋柿になるんです。
O型のように甘柿だけの遺伝子がそろわないと甘柿にはならないのです。
なので柿の木全体で見ても甘柿の種類はとても少なくて、現在のところ完全な甘柿というのは、富有柿と次郎柿の2種類くらいなのです。
難しい説明
難しい説明についてはこちらの論文を読んでみてください。
ちょっとだけ書くと、柿の遺伝子は6倍体で甘柿の遺伝子は潜性遺伝(劣性遺伝)。
つまり同じ遺伝子が6個そろわないと甘柿にならないので品種が少なく、さらに甘柿を生産するためには純系の近親交配しかないため数も少なくなりがちで、そのあたりの対策を立てているところ、というのが現状のようです。
渋柿と甘柿の食物学的な違い
渋柿と甘柿の食物学的な違いはタンニンという渋みのにあります。
渋柿には水溶性タンニンという、水に溶ける状態のタンニンが含まれています。
ですので口の中に入れると渋みが溶け出してきて渋いんですね。
甘柿には不溶性タンニンが含まれています。
水に溶けださないタンニンなので、口の中に入れても渋みを感じないのです。
渋柿と甘柿は同じ木にできるの?
渋柿と甘柿は同じ木にはできません。
できませんが、不完全甘柿の場合、甘柿と渋柿が混在している木があります。
その場合には甘柿か渋柿かを見分けて食べます。
見分け方はこちらのYouTubeチャンネルの方が詳しく説明してくださっていますので参考にしてみてくださいね。(動画お借りします)
甘柿と渋柿の違い まとめ
私が住んでいるのは田舎町なので、お店で売られている柿の中には渋柿も多く売られています。
かえってそのまま食べられるかと思ったら、干し柿にする用の柿だったということもあって、なかなか風情があります。
実家は都会の方なので渋柿をスーパーで見かけたことはないと言っていて、実家の両親は干し柿が好きなのでいつもうらやましがられています。
送ってあげようかなと思ったりもするのですが、重量が重いのでいつも干し柿になったものを送っています。
愛媛のあんぽ柿という干し柿、とてもおいしいのでぜひ食べてみてくださいね。
コメント