デラウェアを最近見ないのには私たち消費者の好みの変化や農家さんの作り方の変化が理由です。
実際、デラウェアの生産量の推移をみると、1980年代には10万t以上出荷されていたにもかかわらず、2000年代には4万t程度まで大きく減少しているんです。
このデラウェアの出荷量減少の背景にはぶどうの輸入が解禁になったなどの理由も挙げられます。
この記事ではデラウェアを最近見ない理由について詳しくご紹介していきます。

- 果汁が多い
- 果汁が甘い
- 安い
- 実が酸っぱい
- 実が小さい上に皮がかためなので食べにくい


デラウェアを最近見ない理由
デラウェアってほんと最近見なくなりましたよね。
7月中旬から下旬ころにスーパーではデラウェアが並びますが、棚の面積は少なくて、りんごやバナナ、キウイが並ぶ端っこの方に申し訳なさそうに並んでいます。
私が子供のころ(昭和)はぶどうと言えばデラウェアで、お店にもずらっとたくさん並んでいた記憶があります。
買ってもらえるぶどうもデラウェアくらいだったような気もします。
それなのに。
庶民の味方デラウェアを最近見なくなってしまった理由とは、それは大人の事情が大きく絡んでいるようです。
農家さんが減った
日本の高齢化により農家さんの人口は減少傾向にあります。
ぶどう農家も例外ではないため、デラウェアを作っていた農家さんが減ってきているのも1つの要因です。

消費者に人気がなくなった
近年は「酸味のない甘い果物」が人気の傾向にあります。
いちごのあまりんやシャインマスカットなどが代表的です。
それに比べてデラウェアは
- しっかりとした酸味がある
- 粒が小さくて味が分かりにくい
- 粒が小さくて食べにくい
という現代の消費者が嫌がるポイントを3つもおさえてしまっているため、あまり人気がなくなってしまったようです。
農家さんがぶどうの品種を切り替えた
農家さんが作付けするぶどうの品種を切り替えたということもあります。
デラウェアはどうしてもスーパーでの価格も1房300円程度にしかならず、薄利多売となってしまいます。
ですがシャインマスカットに変更すれば、1房3,000円で売れますから、デラウェアと比べて同じ労力でも10倍の利益が得られます。
それならみんなシャインマスカットを育てたいですよね。
外国とのぶどうの輸出入の影響
外国から輸入されるぶどうが2010年あたりから増加しています。
これはアメリカやチリからのぶどうの輸入が増えたことによる増加です。
さらに2014年にオーストラリアからの輸入が解禁されると輸入量は大きく増加します。
これは日本でぶどうが収穫できない冬、秋、夏の時期にぶどうが供給できるようになったことや、皮ごと食べられる高品質のぶどうが手に入るようになったことが大きな要因です。
- 1年じゅうぶどうが食べられる
- 皮ごと食べられる高品質のぶどう

さらに日本のぶどうの国外への輸出も2015年あたりから大きく増加しています。
これはシャインマスカットなどを国外へ輸出するようになったためです。
そしてシャインマスカットを国外へ輸出することでぶどうの単価が一気に上がりました。
下のグラフはぶどうの単価とみかん、りんごの単価の推移を表したものです。

ぶどうだけ2倍以上に跳ね上がっているのが分かりますよね。
単価の上昇に伴ってシャインマスカットを生産する農家が増え続け、デラウェアの生産量も徐々に減っていったという背景もあります。
デラウェアの生産量の推移
デラウェアの生産量の推移を見てみましょう。
結論から言うと、栽培面積が大きく減少しているので生産量も大きく減少していると言えます。
理由はシャインマスカット等への改植によるとのことですが、デラウェア農家の方々は美味しいと言ってもらえるデラウェアの栽培に力を入れていらっしゃいます。
約10年前の平成24年と、令和2年のデラウェアなどぶどうの品種別栽培面積が、農林水産省の「特産果樹生産動態等調査」より分かります。
平成24年は円グラフの赤い部分がデラウェアの栽培面積です。
全体の18.3%がデラウェアで、巨峰に次いで2位となっています。
一方、令和2年は円グラフの紫色の部分がデラウェアの栽培面積ですが、全体の14.4%と4%ほど栽培面積が減少しています。
さらに、巨峰、シャインマスカット、ピオーネに続く第4位となっていて、この10年の間にぶどうの世界の事情が大きく変わってきたことがわかります。
デラウェアの特徴
デラウェアの特徴をご紹介していきますね。

スーパーで買いました。
デラウェアです。
たくさん粒のついているかわいいぶどうですね。

紫色をしています。
ぎゅっと詰まっていて、プリッとしていますね。

皮をむくと緑色の実が出てきます。
そして果汁もたくさん出てきます。
皮をむいて食べるとこの果汁を味わえないのが残念だなと思うので、できれば口の中で皮をむくことをおすすめしたいです。
そして葉で噛むのではなく、そのまま飲みこんでしまうと良いのかなと・・・個人的には思います。
噛むとすごく酸っぱいので、それでデラウェアが嫌になる人も多そうです。
酸っぱいのが好きな人はぜひかみしめて食べてください。
外側の果汁はとても甘くておいしいです。

デラウェアの糖度
デラウエアの糖度は20~23度と言われています。
ぶどうの中でもかなり甘いほうで、あの甘い甘いと言われているシャインマスカットでも糖度は15~17度なので、デラウェアの糖度はかなり高いです。
ですが、酸味もとても高いので、甘いだけではなく甘い!酸っぱい!といったメリハリのある味をしています。
デラウェアの産地
デラウェアの産地は
- 山形県
- 大阪府
- 山梨県
- 島根県
が主な産地で、生産量はこの順で多いです。
海外から輸入されるぶどうの輸入量は
- チリ
- オーストラリア
- アメリカ
となっていて、日本のブドウが出回りにくい季節にも安定してぶどうが供給されるようになりました。
デラウェアを最近見ないのはシャインマスカットやピオーネのせい
デラウェアを最近見ないのは、単価が高く海外にも輸出できるシャインマスカットや、種無しの巨峰で味もおいしいということで大人気になったピオーネの栽培が盛んになったためです。
デラウェアを育てていた土地にシャインマスカットやピオーネを植えているのでデラウェアの数が相対的に減ってきています。
とはいえ、デラウェアは私たち昭和時代に育ってきた人間としては懐かしいぶどうですよね。
デラウェアも改良されて昔のものに比べるととてもおいしいぶどうになっています。
ぜひ食べてみてください。
印象が変わりますよ。


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